
老後の資産形成特集第2弾は、老後資金を補う方法について、どのような手段が存在するのかをみていきます。
【老後の資産形成特集01】金融庁報告書「年金以外に2,000万円必要」は本当か?人生100年時代の資産設計とはで見たように、65歳以降の老後30年間の生活に必要なお金は、現役時代の年収や世帯構成などによって大きく変動し、4,000万円以上必要になる可能性もあります。
お金の窓口の試算によれば、平均月収40万円の夫・会社員、妻・専業主婦の世帯で約1,400万円、同じく平均月収40万円の会社員の単身世帯で年金とは別に約3,000万円が必要になります。
しかし普通にサラリーマンをしている人が、それだけの資産を作るのは至難の技。そのためには賢くお金を殖やす資産運用の知識が欠かせません。そこで、ここでは以下の条件をもとに老後資金の不足分を補うための資産形成方法を4種類紹介します。
- 不足金額:3,000万円
- 準備期間:30〜65歳の35年間
資産形成の方法には現役時代の生活や、性格によって向き不向きがあるので、ぜひここで自分にあったものを探してみてください。
貯金
利回り | 0.01% | |
必要な金額 | 年額 | ¥855,648 |
月額 | ¥71,304 | |
向いている人 | 所得にある程度余裕がある人 |
貯金の利回りは0.01%とほとんどゼロに近いため、老後資金の不足分を貯金で用意するためにはほぼ全額をコツコツと貯める必要があります。
そのため片働きの世帯で月額7万円以上を貯金に回す必要がありますし、共働き世帯でも一人当たり約3.5万円ずつの貯金が必要です。
30歳を超えると結婚や出産、育児といったライフイベントがある人も多いはずです。したがってこの方法は、ある程度所得に余裕のある人以外にはあまり向いていないと言えるでしょう。
株式投資
利回り | 5〜6% | |
必要な金額 | 年額 | ¥252,684〜¥316,872 |
月額 | ¥21,057〜¥26,406 | |
向いている人 | 投資の勉強を本格的にできる人 |
株式投資は資産運用の王道というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。このうち株式投資の期待利回りは5〜6%と言われています。
この利回りで株式が運用できたとすれば、毎月積み立てる金額は2万1,057〜2万6,406円となり、片働きでも比較的余裕を持って用意できる金額となります。
もちろん株式投資の腕次第では利回り10%も不可能ではありませんから、そうなると積み立てる金額はもっと少なくて済みます。
しかしこれは逆に、腕次第で元本割れもあり得るということです。
実際株式投資をしている人の約8割は損をしていると言われるほど、株式投資には知識と技術が必要になります。
期待利回り5〜6%という数字も、何十%もの利回りを出している少数派が平均値を引き上げているだけなのです。
そのため株式投資で老後資金を準備するのに向いているのは、本腰を入れて投資の勉強ができる人に限られてしまいます。
保険
利回り(返戻率) | 108.0% | |
必要な金額 | 年額 | ¥793,651 |
月額 | ¥66,138 | |
向いている人 | 所得にある程度余裕がある人 |
次に考えられるのが、生命保険や養老保険の解約返戻金を老後資金に充てる方法です。
解約返戻金とは一定期間払い込みを続けたあとに解約をすることで、契約者に払い戻されるお金のことです。
払い込み期間ごとに設定されているのが返戻率で、例えば払い込み金額が100万円で、返戻率が105%だった場合、105万円が払い戻されます。
貯蓄型保険と呼ばれる商品になると、この返戻率が108%や111%というものもあるため、貯金をするよりは利回りが期待できるというわけです。
ただ「貯金をするよりはマシ」というだけで、上表のように3,000万円を準備するには35年間、毎月7万円近い資金をひねり出す必要があることには変わりありません。
そのためこの方法もまた、ある程度所得に余裕のある人向けの資産運用の方法だと言わざるを得ないのです。
ただし国内の保険会社ではなく、海外の保険会社の商品になると話は別です。
なぜなら「返戻率が12年で150%」「10年後で150%」といった商品を提供しているところも珍しくはないからです。
投資信託
利回り | 3.0% | |
必要な金額 | 年額 | ¥485,460 |
月額 | ¥40,455 | |
向いている人 | 商品選びのための多少の勉強であれば、やる気がある人 |
投資信託に関しては積立NISAやiDeCo(確定拠出年金)などが浸透してきているため、知っているという人も多いかもしれません。
日本国内の投資信託は、商品選びさえ間違えなければ10年平均で2〜3%程度の利回りで運用することができます。
つまり上表にあるように、仮に利回り3%の商品を毎月4万455円の積立で購入していけば、35年後には3,000万円を準備できるのです。
「商品選びさえ間違えなければ」と書きましたが、投資信託はプロの機関投資家が本人の代わりに株などを運用してくれるものなので、株式投資などに比べれば圧倒的に簡単に商品を選ぶことができます。
多少の勉強は必要ですが、そこまで難しく考える必要もありません。
なお投資信託に関しても、海外金融機関の商品になると10年、20年単位で8〜10%の利回りを実現しているものもたくさんあります。
このような商品にめぐり合うことができれば、当然毎月の積立額はもっと少なくて済みます。事ある毎に判断しなくても良い点などから、初心者はもちろん仕事が忙しい方には最適な投資方法といえるでしょう。
FXや仮想通貨は老後資金作りには向かない
「投資」にはこの他にもFXや仮想通貨、金投資や先物投資などもあげられます。
しかしこうした商品は基本的にハイリスク・ハイリターンなうえ、より高度な専門知識が必要になります。
リスクをとって万が一にでも老後資金がなくなってしまったら、目も当てられません。老後資金の形成はできるだけ堅実に、丁寧に殖やせる方法を選ぶべきです。
そのためFXや仮想通貨、金投資や先物投資といったリスクの高い投資は、たとえリターンが大きくとも、老後資金作りには向かないのです。
まとめと手法よりも大切なこと
再三お伝えしている通り、現在の日本の状況を考えると、老後資金を年金だけに頼っていては危険です。
しかしだからといって「節約して、コツコツ貯金していれば大丈夫!」と考えてしまうと、現役時代の生活を犠牲にする形になりかねません。
そのため、現代人は何らかの投資に取り組まなくてはいけないとお考え下さい。
そして、そのためにいろいろな投資を紹介させていただき、オススメの手法も紹介させていただきましたが、手法よりも大切なことがあります。
それは運用方針がブレないことです。
「あれもこれも気になる・・・」と言う状態で勢いだけで始めてしまうと、人に言われるがままにお金を入れてしまったり、
いざというときに「売るべきか・・・、いや上がるか・・」といった判断ができなくなります。
また、株や投資信託を買うにしても、どの株を購入するかによって運用成果も大きく異なります。
ここでは投資の必要性と色んな手法があることを、まず知識として知っていただいき、
次の記事で、老後の資産形成のための運用方針をガッチリ固めていきましょう。
【次回記事】
【老後の資産形成特集03】初心者が投資を始める前に知っておきたいこと
ご覧いただきありがとうございました。
本記事を含めた老後の資産形成特集は、一通り目を通すだけで投資初心者でも老後の資産形成に必要な知識が身につくコンテンツを集めたものです。はじめからでも、途中からでも学習いただけます。