この記事では、世界各国の消費税が高い国・安い国をランキング形式で比較していきます。
また、日本よりも消費税が高い国・安い国の実態や、消費税以外の税や社会保障を合わせた国民の負担率にも触れていきます。
日本でもおなじみの消費税は、世界の多くの国で導入されています。
世界の消費税を知らないと、いったい日本の税率が高いのか、安いのかがわかりません。
そこでこの記事では、
「日本の消費税って世界と比べて高いの?安いの?」
「世界各国の消費税率を知りたい」
このような思いを持っているあなたのために、以下の内容を紹介していきます。
- 日本の消費税の仕組み
- 世界各国の消費税率
- 世界の消費税が高い国
- 世界の消費税が安い国
- 日本の消費税が安い理由は軽減税率・ゼロ税率の対象商品が少ないから
この記事は5分くらいでカンタンに読めて、日本と世界各国の消費税率について、ちがいを十分に知ることができますので、ぜひご一読ください。
日本の消費税の仕組み
ここから、日本の消費税の仕組みについて解説していきますね。
先に日本の消費税の仕組みを知ることで、他国の消費税との比較がしやすくなります。
消費税とは、商品を購入したことに対してかかる税金です。
消費税は、日本で購入されるモノやサービスならば、すべてに課されます。
たとえば車の購入費のように大きな金額の商品から、歯ブラシのような小さな金額の商品まで、購入にかかる値段の大きさは関係なく、消費税がかかるのです。
2019年10月から、日本で購入されるモノやサービスに課される消費税は10%となりました。
たとえば、100円の値段の商品を購入する場合、10%の消費税と合わせて、支払うお金は110円になります。
日本では例外として、食品や新聞などの一部の商品には軽減税率が適用され、消費税は8%しかかかりません。
消費者の生活における負担を減らすため、特定の商品にかかる税率を、通常よりも低くおさえる制度のこと
また他にも、10%分の消費税の負担を軽減するために、以下のような政策が実施されています。
- 住宅ローンの減税期間を3年間延長する(10年→13年)
- キャッシュレス決済使用時に2~5%のポイントが還元される(2020年6月30日まで)
以上の政策によって、10%の消費税が、国民の消費活動の負担にならないように最大限の配慮がされているのです。
ここまで、日本の消費税の仕組みについて解説していきました。
続いて、世界各国の消費税率を紹介していきますね。
世界各国の消費税率
ここでは、世界各国の消費税率を紹介していきます。
以下は、世界各国の消費税率を表示したグラフです。
出所:国税庁「消費税(付加価値税)の標準税率 (2019 年10月現在)」より
日本では2019年10月に消費税が10%に上がり、税率を重く感じている方は多いかと思います。
しかし、グラフを見ると日本の消費税率10%が、世界各国の中では比較的安いことがわかります。
他国を見ると、日本の倍以上の消費税が課されている国もありますね。
また、消費税が日本の半分ほどの国もあることがわかります。
日本の消費税が高いのか安いのかを判断するためには、他国の消費税についてくわしく知る必要があるのです。
次から、世界の消費税が高い国と安い国を、ランキング形式で見ていきます。
そして、各国の消費税が高い理由、安い理由をそれぞれ解説していきますね。
世界の消費税が高い国
ここから世界の消費税が高い国について紹介していきます。
紹介していく順番は、以下のとおりです。
- 消費税が高い国ランキング
- 消費税が高い国は社会保障が充実している
- 消費税が高い国は軽減税率・ゼロ税率の商品が多い
それでは、順番に紹介していきますね。
消費税が高い国ランキング
ここからは、世界の消費税が高い国を、ランキング形式で紹介していきます。
以下が、世界の中で、とくに消費税の高い国です。(2019年10月現在)
順位 | 国名(地域) | 消費税率 |
1位 | ハンガリー(ヨーロッパ) | 27% |
2位 | クロアチア(ヨーロッパ) デンマーク(ヨーロッパ) スウェーデン(ヨーロッパ) ノルウェー(ヨーロッパ) | 25% |
3位 | フィンランド(ヨーロッパ) アイスランド(ヨーロッパ) ギリシャ(ヨーロッパ) | 24% |
4位 | アイルランド(ヨーロッパ) ポーランド(ヨーロッパ) ポルトガル(ヨーロッパ) | 23% |
5位 | イタリア(ヨーロッパ) スロベニア(ヨーロッパ) | 22% |
↑出所:財務省「付加価値税率(標準税率及び食料品に対する適用税率)の国際比較」より
ランキング表を見ていただければ、ご理解いただけるように、上位はすべてヨーロッパの国が占めています。
ヨーロッパ諸国の消費税は、日本の消費税10%と比べると、およそ2.5倍ほど高くなっていますね。
ヨーロッパ諸国の消費税は正式には「付加価値税」という名称で呼ばれています
なぜ、ヨーロッパ諸国は、これほどまでに消費税率が高いのでしょうか?
次からは、その理由を説明してきますね。
消費税が高い国は社会保障が充実している
ここからは、ヨーロッパ諸国の消費税が高い理由を説明していきます。
ヨーロッパ諸国の税金が高い理由の1つ目の理由は、その税収の多くを社会保障に還元しているからなのです。
たとえば、ヨーロッパ諸国では、高い税金を以下のように還元しています。
- 相続税がない(例:スウェーデン)
- 教育費が無料(例:ハンガリー、フィンランド、スウェーデン、デンマーク)
- 医療費が無料(例:ハンガリー、デンマーク)
以上紹介したものは、どれも日本にはない仕組みです。
消費税や他の税金が高いヨーロッパ諸国では、自分たちが支払った血税が、どの分野に使われているのかをチェックする国民の意識が強いため、政府は無駄使いができません。
「税金を社会福祉へ還元する方針の強い政府」と「自分の支払った税金が誠実に使われているかを監視する国民」の両方がいて、ヨーロッパでは高い消費税が設定されているのです。
2009年の欧州金融危機で財政難に陥ったギリシャやポルトガルなど、厳しい経済状況のため、増税せざるを得なくなっている国もランクインしています
ここまで、ヨーロッパ諸国の消費税が高い理由の1つが「税金を社会保障に還元しているから」ということをお伝えしました。
ヨーロッパ諸国の消費税が高い理由は他にもありますので、続けて紹介していきますね。
消費税が高い国は軽減税率・ゼロ税率の商品が多い
ヨーロッパ諸国の消費税が高い2つ目の理由は、購入するときに軽減税率・ゼロ税率になる商品が多いからです。
たとえば、消費税率が20%のイギリスでは、食料品や出版物、医療用品、子供用の衣服などは、購入するときに消費税がかかりません。
消費税率が25%のスウェーデンでも、食料品や宿泊費は税率12%となっており、書籍やコンサート・スポーツのチケットは税率6%となっています。
以上の例のように、ヨーロッパの国の消費税率は高く設定されていても、多くの商品で軽減税率・ゼロ税率が適用されているため、国民の負担は軽くなっているのです。
ここまで、世界の消費税が高い国について見てきました。
次からは、世界の消費税が安い国をランキング形式で紹介していきまね。
世界の消費税が安い国
ここから世界の消費税が安い国について紹介していきます。
紹介していく順番は、以下のとおりです。
- 消費税が安い国ランキング
- 消費税が安い国は社会の発展を優先させている
それでは、順番に紹介していきますね。
消費税が安い国ランキング
ここからは、世界の消費税が安い国を、ランキング形式で紹介していきます。
以下が、世界の中で、とくに消費税の安い国です。(2019年10月現在)
順位 | 国名(地域) | 消費税率 |
1位 | 台湾(アジア) カナダ(北米) | 5% |
2位 | シンガポール(アジア) タイ(アジア) | 7% |
3位 | スイス(ヨーロッパ) | 7.7% |
4位 | 日本(アジア) 韓国(アジア) インドネシア(アジア) カンボジア(アジア) ベトナム(アジア) | 10% |
5位 | フィリピン(アジア) | 12% |
↑出所:財務省「付加価値税率(標準税率及び食料品に対する適用税率)の国際比較」より
ランキング表を見ると、消費税の安い国には、全体的にアジア諸国が多いことが見えてきますね。
ここで気になるのは、ランキングで紹介した各国が消費税率が安い理由です。
次からは、その理由を説明してきますね。
消費税が安い国は社会の発展を優先させている
ここからは、各国がなぜ消費税を安くしているのかを紹介していきます。
とくに、消費税が安い国ランキング1位の台湾とカナダのケースと、他のアジア諸国のケースを、それぞれ見ていきますね。
まず、カナダのケースを紹介します。
カナダの消費税が安い理由は、安定して景気がよいからです。
カナダは日本とはちがい、石油などの豊富な天然資源を輸出して稼ぐことができています。
また、かなだでは毎年若い移民を受け入れているため、少子高齢化の問題が存在せず、高額の社会保障費が経済成長の妨げになりません。
社会保障費が若い世代の負担になり、その分だけ消費が落ち込んで経済が停滞している日本とは対照的です。
以上の理由から、安定して経済成長ができているカナダでは、社会保障のために高い消費税を課す必要がないのです。
続いて、台湾のケースを紹介していきます。
台湾が、消費税や他の税金を安くしている理由は、社会全体が「税金の負担を軽くして、社会保障に頼らずに、自分たちの手で自立して生活しよう」と考える傾向が強いからです。
台湾では、消費税は「営業税」という名目で課税されています。
台湾では、営業税(消費税)をふくめた国民負担率が19.3%となっています。
国民全体の所得から支払われる税金と社会保障費の負担の割合のこと
この数字は先進国と比べても極めて低い数値となっています。(例:アメリカ33.1%、イギリス46.9%、フランス67.2%、ドイツ53.4%、日本42.8%)(出典:財務省「国民負担率の国際比較」)
政府から与えられた社会保障に頼るよりも、自主的に自立して生活を作ろうという考え方は、世界でも最低水準の国民負担率にあらわれているのです。
続いて、他のアジア各国の消費税が低い理由を紹介してきますね。
他のアジア各国が消費税を安くしている理由は、多くの場合「消費税が安い国は社会の発展を優先させている」からです。
消費税の安いアジア諸国では税金が低い分、ヨーロッパ諸国に比べて社会保障の仕組みは充実していません。
理由は、アジア諸国のほとんどが、まだ発展途上国であり、社会保障の充実よりも「先に社会の発展を優先させる」ことを目指しているからです。
社会が先進国並みに発展する前に、社会保障の充実のために多くの税金を課すと、高い経済成長は達成できません。
手厚い社会保障は、ヨーロッパのように社会が発展・成熟してから、はじめて手に入れられるものなのです。
ここまで、世界の消費税が安い国を見てきました。
注目していただきたいのは、日本が、消費税が安い国ランキングの4位に位置しているということです。
日本は世界的に見ても、消費税が安い国であるということが分かりますね。
ここで気になるのは「なぜ日本の消費税は安いのか?」ということです。
疑問にお答えするために、次からは、日本の消費税が安い理由を解説していきますね。
日本の消費税が安い理由は軽減税率・ゼロ税率の対象商品が少ないから
日本の消費税が世界各国と比べても安い理由は、軽減税率・ゼロ税率の対象商品が少ないからです。
消費税の安い日本では、軽減税率の対象になっている商品は、現在は食品と新聞だけです。(2019年10月現在)
一方で、高い消費税を課しているヨーロッパ諸国では、食品や生活用品などで、軽減税率・ゼロ税率の対象になっている商品が数多く存在しています。
そのため、日常生活の商品購入にかかる消費税だけで考えると、日本よりも多くの商品に軽減税率やゼロ税率を適用しているヨーロッパ諸国の方が、消費税率が相対的に低くなるということもあるのです。
日本の消費税が高いか、安いかを判断するためには、数字として表れている消費税率だけを見るだけでは足りません。
「どれだけの種類の商品に」「何%の」軽減税率・ゼロ税率が掛かっているのかまで確認して、はじめて消費税率の高さを正確にはかることができるのです。
まとめ
ここまで、以下の内容を紹介しました。
- 日本の消費税の仕組み
- 世界各国の消費税率
- 世界の消費税が高い国
- 世界の消費税が安い国
- 日本の消費税が安い理由は軽減税率・ゼロ税率の対象商品が少ないから
日本の消費税10%は、世界各国と比べると4番目に安い税率です。
しかし、消費税の高い他国では、日本よりも多くの商品が軽減税率・ゼロ税率の対象となっている分、国民が実際に支払う税額が低い国もあります。
その国で決められている税率を見るだけでは、日本の消費税率が高いのか安いのかは分かりません。
私たちの生活に身近な、消費税について正確に知ることは、今後の社会で安心して暮らすためには必要なことです。
当サイト「お金の窓口」では、他にも消費税についての知識が学べるので、ぜひ活用してみてください!