「国内投資は安全、海外投資は何が起きるかわからないから危険」そんなふうに思い込んで、海外投資に手を出していないという人も多いのではないでしょうか。

あるいはある程度投資の勉強をしているうちに、海外投資の方がリターンは大きいし、日本の経済の先行きを考えると海外にも投資するべきなのはわかってきたものの、「やっぱり一歩踏み出せない」と思っている人もいるかもしれません。

しかしこのような考え方にこだわってしまうと、20年、30年の期間で見たときに、大きな損をする可能性があります。

むしろ「国内投資は安全、海外投資は危険」という考え方はすでに時代遅れで、今後は海外投資をしていなければ、効率的な資産運用が難しくなるとさえ言えるのです。

ここではその理由をIT技術や世界の経済事情など3つの切り口から解説します。

INDEX
  1. インターネットの普及により情報格差が小さくなったから
  2. 金融機関の対応スピードにほとんど違いがなくなったから
  3. 日本より投資に適している国はいくらでもあるから
  4. まとめ

インターネットの普及により情報格差が小さくなったから

ネットワークのイメージ

  • 国内投資であれば、投資情報がいち早く手に入れられるため、情報格差によって損失を出したり、利益を取り逃がしたりしなくて済む。
  • 海外投資の場合は情報格差が生じやすいため、臨機応変な対応が難しい。

国内投資が安全であり、海外投資が危険であるという根拠としてよく言われるのが、こうした情報格差の違いです。

たしかに何を、いつ、売るか買うかという投資判断は、様々な情報をもとに行われます。

たとえば国政選挙の結果や次期首相の任命、業界における新技術の開発や、大手の経営陣の人事などです。

こうした情報をいかに早く手に入れ、投資判断に反映させるかどうかは、資産運用が成功するかどうかに大きく関わってきます。

これは自分のお金を運用している個人投資家だけでなく、証券会社などの金融機関で顧客のお金を運用している機関投資家も同じです。

そのため仮に国内と海外で投資判断に必要な情報を手に入れられるスピードに致命的な違いがあるのであれば、国内投資の方が安全で、海外投資の方が危険だということになります。

海外企業の株価が大暴落してから慌てて売っているようでは、確実に損をするからです。

しかし2019年現在、主な投資対象になるような国に関する情報は、ほとんどがインターネットでやりとりできるようになっています。

個人投資家でも英語ができればたいていの国の情報は手に入りますし、英語ができなくても翻訳ソフトなどを使えば大まかな理解は可能です。

投資のプロである機関投資家であればなおさらです。

もちろんインターネットが普及したからといって、情報格差がゼロになったわけではありませんが、投資判断に致命的な影響を及ぼすほどではなくなっています。

したがって情報格差の違いを理由に国内投資が安全であり、海外投資が危険であるという判断をするのは、時代遅れなのです。

金融機関の対応スピードにほとんど違いがなくなったから

外国人オペレーター

個人が海外に行って口座を開設して投資を始める場合にしろ、国内の金融機関が海外の金融機関と取引をして投資を行う場合にしろ、かつては非常に手間と時間がかかるものでした。

場合によっては一つの手続きに数週間かかることも珍しくなかったのです。

これは言葉の問題に加えて、金融取引の手続きが紙媒体に依存していたことなどが挙げられます。

しかし前述したように、近年はインターネットが急速に発達し、電子ネットワーク上で手続きを完了させられる金融機関も増えてきています。

そのためパソコン上やスマートフォンのアプリ上で投資の指示を出したり、入出金をしたりといった手続きもできるようになっています。

また、かつては発展途上国だった国々の金融機関も、国の成長に伴って変化してきており、以前ほどは時間がかかることも少なくなってきています。

もし投資判断をしてから実際に手続きが完了するまでに数週間かかるとしたら、いくら迅速に判断できても意味がありません。

場合によっては大きな損失につながることもあるでしょう。

しかしそうした問題が解消された現代においては、金融機関の対応スピードを理由に「国内投資は安全で、海外投資は危険」と言うことはできなくなっているのです。

日本より投資に適している国はいくらでもあるから

香港の街並み

少子高齢化、人口減少、膨らみ続ける国の借金……日本は現在様々な問題を抱えています。

とりわけ人口減少は国の経済力にとって致命的で、日本全体としての経済規模は今後数十年の間に確実に縮小していくと考えられています。

一方でアメリカやシンガポール、香港など、日本より経済が安定しており、かつ今後も成長が見込める国は海外にいくらでもあります。

東南アジアにもベトナムやカンボジア、フィリピンなど、投資対象として有力な国は少なくありません。

これは「日本に投資してはいけない」ということではありません。

日本は依然として世界トップクラスの経済大国であり、それが突然経済破綻を起こすということは考えづらいからです。

しかし数十年単位で考えた場合は話が別。そうなったときのためにも、日本以外の国に目を向けておくべきだと言えるでしょう。

まとめ

かつて日本国内は堅実かつ有望な投資対象でしたが、国としての成熟期に入った現代においては「日本=安全な投資対象」という図式は崩れつつあります。

そのため「国内投資は安全、海外投資は危険」という考え方は、すでに時代遅れになっているのです。

ネットや雑誌、金融機関などでもっともらしく語られる国内投資の優位性、すなわち「情報格差」「金融機関の対応」「経済の安定性」などを鵜呑みにしてはいけません。

何が本当に正しい情報なのかを様々な視点から検討した上で、自分で判断していくようにしましょう。