リゾートマンションとは、観光地や避暑地、海沿いに建てられているマンションのことをいい、不動産バブルの時代には「投資物件」としても人気がありました。
リゾートマンションの人気が最盛期のときには、何千万円もするような物件も珍しくはありませんでしたが、最近はリゾートマンションの価格下落が目立ってきており、手が届く価格のものも増えてきています。
しかし、価格が安くなったリゾートマンションは一見お得に見えるものの、そこには落とし穴がありますので、飛びついて買わないように注意しなければなりません。
ここでは、格安リゾートマンションを買ってはいけない理由についてお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてください。
格安リゾートマンションが増えている事情
リゾートマンションはスキー場や温泉地の近くに建てられ、不動産バブルの時代に非常に人気が出た物件です
しかし、不動産バブルの崩壊とともにそのブームも過ぎ去り、価格崩壊が起きた「格安のリゾートマンション」が増えてきています。
近年は日本の景気も長期にわたって低迷しており、「贅沢品」であるリゾートマンションを売る人が多いため、ますます価格が下落し続けています。
今では一部屋100万以下で買えてしまうことも珍しくなく、場合によっては「1万円」というような超格安物件もあります。
経済状況が悪くなったオーナーが次々に部屋を売りに出し値崩れが起きてしまったことが、格安リゾートマンションが増えた理由です。
格安リゾートマンションは維持コストが高額
リゾートマンションを格安で購入できるということは、たしかに魅力的です。
「リゾートマンションを100万以下で買えるなんて安い!」「毎週家族で週末を過ごしてリゾート気分も味わえば、十分もとがとれるはず」と考える人も少なくありません。
しかし、問題は購入したあとにあります。
実はリゾートマンションは通常のマンションに比べて管理費などの維持コストが高額で、毎月・毎年の費用負担がかなり大きくなってしまうという特徴があります。
安い物件価格に惹かれて購入してしまうと、購入費に加えて毎年数十万円もの管理費を払い続けなければならなくなります。
このように物件購入コストよりもはるかにお金がかかってしまうことから、リゾートマンションの購入時には慎重に検討する必要があるのです。
リゾートマンション保有にかかるコストは以下のようになっています。
リゾートマンションの維持コスト①管理費
リゾートマンションは一般のマンションよりも管理費が高く設定されています。その理由は、共用部分が多いからです。
リゾートマンションには大浴場やサウナ、プール、ラウンジ、テニスコートなどの設備が付帯している場合が多く、これらの豪華な設備を維持し、メンテナンスする費用が必要です。
一般的なマンションの場合、高くても1㎡あたりの管理費は200円ほどとされています。
しかし、リゾートマンションの場合は1㎡800円を越えるような物件もあり、一般的なマンションの約4倍もの管理費がかかってしまうのです。
例えば上記の条件で、2LDKで100㎡の物件の場合を考えてみましょう。
一般のマンションの管理費は2万円のところ、リゾートマンションでは4倍の8万円がかかってしまう計算になります。
このように、リゾートマンションの管理費はかなり高いということを理解しておかねばなりません。
リゾートマンションの維持コスト②修繕積立金
リゾートマンションでは管理費だけではなく、修繕積立金を毎月納める必要があります。
リゾートマンションには様々な設備があることから、修繕積立金の額も高くなっており、管理費と修繕費を合わせて月10万円かかることも珍しくありません。
この費用を毎月支払うだけでも相当の金銭的負担がかかりますが、それ以外にも「修繕積立金の未納」という問題があります。
格安リゾートマンションでは「部屋を売りたいのに売れない」と困っている所有者が、管理費や修繕積立金を延滞している場合も多くなっています。
滞納者が多いと修繕積立金の未納金も多くなり、数千万円単位になってしまうことも珍しくありません。
マンションに経年劣化や不具合が見つかった場合は修繕積立金を使って修理を行いますが、未納が多い場合はお金が足りなくなってしまいます。
しかし、お金が足りないからといって設備のメンテナンスや修理をしなければ、リゾートマンションの物件としての価値がより低くなってしまうため、きちんと修繕金を支払っている入居者が、追加で自己負担金を出して工事を行わなければならない場合も出てくるのです。
格安リゾートマンションは、このように管理費や修繕費の未納に悩まされている物件も多いため、購入すれば他の人の未納分のしわ寄せが自分に降りかかってくるというリスクがあります。
売却できない格安リゾートマンションのコストは悪夢
格安リゾートマンションを購入した後に高額な維持費が支払えずに、再び売りに出そうとする人が多いのですが、なかなか売れないのが現実です。
なぜならば、リゾートマンションには高額なコストがかかるということが知られているため、超格安物件であっても買い手がつかなくなってきているのです。
その結果「タダ同然の価格にしても売れない」という最悪な状況に陥っているリゾートマンションが増加しています。
最初に購入したものが高価な新築リゾートマンションであれば、まだ売れる可能性はあります。
しかし、購入した時点で格安であったということは、その時点ですでに「買う人がおらず、価格が暴落していた物件」ということです。
そのようなリゾートマンションを再び売ろうとしても、かなり難しいのが現実です。
その結果、リゾートマンションの買い手が現れるまで、何年、何十年という長い期間に渡ってリゾートマンションの管理費を支払って行かなければならないことになり、その費用は想像をはるかに超える額になるでしょう。
格安リゾートマンションを相続すると負債を抱えることに
売れない格安リゾートマンションを持っていた場合、相続時にも問題が発生することになります。
毎年コストばかりがかかって売れない「不良債権化したリゾートマンション」を子供が相続した場合、子供が毎月の管理費や修繕積立金などを支払う義務が生じてきます。
相続前に両親が管理費や固定資産税の支払いを滞納していた場合は、相続をきっかけに今まで滞納していた費用を請求される恐れがあります。
また、スラム化したリゾートマンションを長期間保有していると、建物の老朽化が進んで大規模修繕を行わなければならない時期もくるでしょう。将来、そういった費用の一時金を数百万単位で請求される可能性もあるのです。
相続した子供が支払いを拒否した場合であっても、万が一訴えられた場合は敗訴する可能性が高くなります。
敗訴すれば自分の持ち家や財産を売却してでも、リゾートマンションの固定資産税や管理費を支払わなければならないという最悪の状況に陥ってしまうのです。
このようなリゾートマンションを相続したくなければ「相続放棄」をする必要がありますが、一部の財産のみの相続放棄は基本的にはできません。
そのため、格安リゾートマンションを相続放棄したい場合、他のすべての財産も相続放棄しなければならなくなってしまうのです。
このように、格安リゾートマンションを購入し、売りたくても売れない状態が続くと、相続のときに子供に大きな負債を引き継いでしまうことになります。
高い維持コストや相続時の問題など、格安リゾートマンションの購入はデメリットが非常に多いといえるでしょう。
まとめ
格安のリゾートマンションには高額な維持費がかかる、ということを知らずに飛びついて買ってしまうと、後から後悔することになってしまいます。
また、売りたいときに売れないというリスクもあり、そうなった場合は何十年も高額な費用を支払い続けなければならなくなります。
数十万円でリゾートマンションを買えるということは確かに魅力的な話ではありますが、その裏には多くの金銭負担が発生するということを理解し、どれほど安くても慎重に検討するようにしましょう。