こちらの記事では、かつて存在していた「社会主義」が、なぜ崩壊したのかを解説していきます。

社会主義は、現在の世界各国の経済を支える唯一のシステム「資本主義」とは異なった国家経済運営のシステムです。

社会主義は、労働者が働いて生み出した利益の大部分を、一部の資産家が搾取する資本主義社会に不満を持った多数の人たちに支持されていました。

社会主義とは「資本家が持っている工場や資源を労働者が管理して、生み出した富を国民全員に平等に分配することで、格差のない社会をつくろう」という考え方です。

20世紀末まで、この社会主義は、資本主義にかわる新しいシステムとして、多くの国で導入されていました。

しかし、現在の世界では社会主義を導入している国は、ほとんどありません。

社会主義はシステムの運営に失敗し、崩壊してしまったのです。

世界の多くの国から支持された社会主義は、いったいなぜ崩壊してしまったのでしょうか?

その疑問に答えるために、こちらの記事では、以下の内容を紹介していきます。

  • 社会主義のしくみ
  • 社会主義が崩壊した理由

この記事は3分くらいでカンタンに読めて、社会主義が崩壊した理由について十分に知ることができますので、ぜひご一読ください。

INDEX
  1. 社会主義のしくみ
  2. 社会主義が崩壊した理由
    1. 国民が頑張って働いても給料が上がらなかったから
    2. 企業経営の効率化ができなかったから
    3. 経済システムが消費者の需要に対応できなかったから
  3. まとめ

社会主義のしくみ

社会主義国家の労働者団結イメージ図社会主義が崩壊した理由をイメージしやすくするために、まずはじめに「そもそも社会主義とはいったいどのようなものだったのか?」をカンタンに説明していきます。

結論からいうと、社会主義とは「国が経済を管理することで、国民の格差をなくして平等にお金を稼ごう」という考え方です。

この社会主義の考えをシステムとして導入した国(以下”社会主義国”)では、国民の生活に関することを、すべて国家が管理します。

以下に紹介することが、社会主義国独自の特徴です。

  • すべての企業を国家が保有・経営している
  • 働くすべての国民に同額の給料が支払われる
  • 医療、教育などの社会保障がすべて無償化されている

このような特徴は、どれも、日本のように資本主義によって経済を運営している国には見られないものです。

すべての国民に同額の給料が支払われ、貧富の差がなく、また、生活に必要な社会保障も無償化されている社会主義のしくみは、一見、理想的に思えるかも知れません。

しかし社会主義というしくみは、21世紀をむかえる前に、導入したすべての国で機能できなくなってしまったのです。

ソビエト連邦を筆頭とした社会主義国は、制度の運営を続けることができず、1980年代末~1990年代初頭までに、民衆による革命などで資本主義体制に転換してしまいました。

次からは、なぜ社会主義というしくみが機能できず、最終的に崩壊してしまった理由を解説していきます。

社会主義が崩壊した理由

旧ソビエト連邦(現ロシア)の赤の広場

ここからは、社会主義というしくみが崩壊した理由を解説していきます。

具体的に紹介するのは、以下の内容です。

  • 国民が頑張って働いても給料が上がらなかったから
  • 企業経営の効率化ができなかったから
  • 経済システムが消費者の需要に対応できなかったから

それでは、順番に解説していきますね。

国民が頑張って働いても給料が上がらなかったから

社会主義が崩壊した理由のひとつは「国民が頑張って働いても給料が上がらなかったから」です。

社会主義国では、会社の経営陣から一般の労働者まで、すべての国民が同じ給料をもらって生活していました。

国民全員が同じ給料をもらうことは、個人間の格差が生まれないことを意味します。

社会主義の導入によって全国民が平等な給料を手に入れられる社会が実現したことは、かつて資本主義社会の格差と貧困に苦しんだ労働者たちにとって、本来なら喜ぶべきことです。

しかし、全国民が同じ給料をもらう平等な社会には、大きな落とし穴がありました。

頑張って働く人も、怠けながら働く人も同じ給料がもらえたために、労働者が効率よく働く努力をしなくなってしまったのです。

労働の効率性が著しく停滞した社会主義国は、国家体制が崩壊するまで、経済成長の低下に悩み続けることになりました。

一方、社会主義国と対立していた資本主義国では努力して働いた分、高い給料がもらえたために、国民が努力して労働し続けました。

結果的に、国民が働く努力をしなくなった社会主義国と、国民が年々上昇する給料のために努力して働き続けた資本主義国との間で、経済・産業の発展に大きな差ができてしまったのです。

他にも、社会主義というシステムが崩壊してしまった理由があるので、続けて紹介していきますね。

企業経営の効率化ができなかったから

社会主義というシステムが国家の運営を続けることができずに、崩壊してしまった理由としては「企業経営の効率化ができなかったから」という点も大きなものになります。

社会主義体制のもとで国家によって所有され、政府の指導で経営された企業の生産性は、資本主義国の民間企業と比べて、非常に劣悪なものでした。

国中の企業で非効率な経営が続いては、国家は発展しにくく、国民の経済状況も豊かにはなりません。

企業経営の効率化ができなかった理由は、資本主義国のような市場が存在しなかったことにあります。

市場がなければ、取引が行われないので、商品の生産に必要な原材料費の価格も存在しないことになります。

たとえば、車の生産につかう金属の原材料費や、工場の建設費も存在しません。

なので、いったいいくらの費用で車を生産して、いくらで売り出せば利益を出せるのかが計算できなくなってしまったのです。

一方で、資本主義であれば、生産手段の価格は市場で決まっているので、どれだけ多くの生産手段を投入すれば事業で収益を出せるのかが数字で判断できます。

資本主義国の企業では、データに表示された数字を見ながら、事業で収益を出すための合理的な判断が可能になるのです。

ある事業にどれだけの生産手段や労働力を投入すれば収益が出せるのかを、合理的に判断する方法が存在しなかった社会主義国の国有企業は、非効率な経営をし続け、労働者を貧困に追いやってしまったのです。

続けて、社会主義が崩壊してしまった別の理由を紹介してきますね。

経済システムが消費者の需要に対応できなかったから

社会主義が崩壊した理由には「経済システムが消費者の需要に対応できなかったから」というものがあります。

ソビエト連邦などの社会主義国がつくられて間もないころには、国民は生きるために必要な最低限の食料と、衣服があるだけの生活をしていました。

建国初期には、たとえ国民全員がおなじ食べ物を食べて、おなじ服を着ても、文句を言う人はいなかったのです。

しかし、社会が発展して、国民の生活水準が上昇したころには、人々は自分が”欲しいと思う商品”を求めるようになりました。

社会主義国では、販売する製品のデザインや数量を中央政府の判断によって決定します。

たとえばコートを生産する場合には、あらかじめ中央政府が色、デザイン、価格、生産数などを決めなければなりません。

この方法では、国民がどのような製品をどれだけの数欲しているのかを正確に捉えることができませんでした。

市場を通して消費者の好みや、欲している数を判断できる資本主義のシステムに比べて、極めて非効率だったのです。

豊かになりつつあった社会主義国の国民は、自分が欲しいと思う商品がない自国に、大きな不満を持つようになっていきました。

以上のように、社会主義国では、国民の生活に関するすべてを中央政府が決めていました。

社会主義国は人々を豊かにすることができずに、年代を経るごとに経済的な危機に陥り、最終的には崩壊してしまいました。

かつて社会主義を導入していた国々は国家を豊かにできない旧い制度に見切りをつけ、現在は発展に成功した資本主義を導入することで、経済成長を実現しています。

まとめ

ここまで、以下の内容をお伝えしました。

  • 社会主義のしくみ
  • 社会主義が崩壊した理由

記事本文で紹介したように、社会主義は「国が経済を管理することで、国民の格差をなくして平等にお金を稼ごう」という考え方です。

この平等思想は、結果的には効率性の悪さから国民を貧困に陥れてしまい、制度を維持できずに崩壊してしまいました。

現在でも中国やベトナムなど、少数の国が社会主義国を名乗っていますが、経済制度は資本主義を導入しています。

資本主義は現在、社会を発展に導く唯一の手段として、ほぼすべての国で導入されているシステムなのです。

日本も例外ではなく、経済は資本主義によって運営されてきました。

資本主義国では社会主義国とは異なり、投資などの経済活動で、個人が自由に稼ぐことができるメリットがあります

資本主義社会で生きるあなたも、より豊かになるために、個人で稼げる投資などをしてみてはいかがでしょうか?