HSBC香港には複数の口座種類(グレード)があり、グレードに応じて受けられるサービスが異なります。一般の日本の銀行ではあまりない概念なので、この記事ではHSBC香港の口座種類について詳しく解説します。

また併せて、預金金利と各種手数料についても日本の銀行と比較しながら解説します。

2019年8月1日より、手数料が大幅に改善されましたので、本記事の内容の口座種類と手数料は、既に口座を持っている方、これから口座を開設したいという方のどちらも必ず押さえておきたい内容です。

知らず知らずに損をすることがないよう役立つ解説ですので、ぜひご一読ください。

INDEX
  1. HSBC香港の口座種類は4つ
    1. 口座のグレードの変更
    2. 口座種類ごとの最低残高と口座維持手数料
  2. 預金金利と外貨両替手数料
    1. 預金金利
    2. 外貨両替手数料
  3. 日本での引き出し手数料
  4. 日本からのHSBC香港への送金手数料
  5. まとめ

HSBC香港の口座種類は4つ

銀行通帳によるさまざまな口座種類のイメージ2019年7月現在、HSBC香港にはJade(ジェイド)、Premier(プレミア)、 Advance(アドバンス)、Personal Integrated(パーソナルインテグレテッド )の4つの口座種類があります。

口座の総取引残高(TRB: Total Relationship Balance)に応じて申し込むことができます。
*Personal IntegratedはSmart Vantage(スマートバンテージ)とも呼ばれます。

総取引残高とは最低預金残高のようなもので、預金と投資口座の合計の3ヶ月平均で計算されます。

日本の銀行では一般的ではありませんが、預金残高が総取引残高を下回ると一定の口座維持手数料が発生します。そのため用途や予算に見合った口座を持つ必要があります。

口座維持手数料については、追ってご案内いたします。

それぞれの口座の特徴を以下の表にまとめました。

グレード 口座名 総取引残高 特徴(下位グレードに対する付加価値)
最高  Jade(2019年1月新設 7.8 百万香港ドル(約1.1億円)
  • 専任チームがつく(Directorレベル + 各分野エキスパート)
  • 世界各国でコンシェルジェサービスが利用できる
  • 専用ラウンジでの対応
Premier 1.0 百万香港ドル(約1400万円)
  • 担当者がつく(Mangerレベル)
  • 専用ラウンジでの対応
  • 優待金融商品が購入できる
  • 世界のHSBC支店でPremierの口座を開設できる
Advance 20 万香港ドル(約300万円)
  • 担当者がつく
  • 専用窓口での対応
  • クレジットカードが作れる
  • 各種手数料の優待
簡易 Personal Integrated 5 千香港ドル(約7万円)

(*)表内の金額は1香港ドル=14円で換算で為替換算

世界中のHSBC支店を含めた本格的な資産分散・資産運用をした方や、世界中を飛び回るのでメインバンクとしても考えている方はグレードの高いのJadeやPremierプランがおすすめです。

HSBC香港でJadeかPremier口座を持っていれば、世界各国のHSBCで同グレードの口座開設のサポートを受けることができます。

一方で日本国内でネットバンキング中心の利用の場合は、AdvanceやPersonalプランで海外投資のメリットを十分に受けることができます。

なお、日本人が開設する場合、口座開設時の入金額の大小に関わらずAdvance口座からのスタートになります。必要に応じてグレードを変更していくことになります。

口座のグレードの変更

たとえば、Advanceで口座開設したものの残高不足のため口座維持手数料が発生してしまっている方は、Personal Integratedにダウングレードすることで手数料を解消することができます。

もちろん、もっと有利なサービスを受けるためにPremiermにアップグレードすることもできます。ただし、総取引残高を満たしていなければアップグレードはできません。

日本居住者が口座種類の変更には場合、残念ながらインターネットバンキングでは変更手続きはできませんので、以下の3つの方法からの選択になります。

1. HSBC香港の支店に行って申し込む
2. テレフォンバンキングで申し込む
3. 申請書類を郵送する

日本居住者にとって「3.申請書類を郵送する」が英会話をする必要もないので最も一般的な方法です。書類の記載方法などは口座開設代行業者にサポートをお願いすることも可能ですので安心です。

口座種類ごとの最低残高と口座維持手数料

下の表のとおり、グレードごとに口座維持手数料の取り決めがあります。ただし、最低総取引残高を上回れば手数料は免除されます。

なお、HSBC香港の公式サイトによると、2019年8月1日からAdvanceとPersonalの口座維持手数料の規定が撤廃されることが公表されています。

ただし、Advanceについては総取引残高が20万香港ドルを下回り続けるとPersonalにダウングレードになる可能性があります。そのため、引き続きAdvanceのメリットを得るためにはこれまでと同様に口座残高に注意する必要があります。

<口座種類別の口座維持手数料>

口座種類 最低総取引残高 口座維持手数料
Jade HKD 7.8 M(約1.1億円) 設定なし
Premier HKD 1.0 M(約1400万円) 380香港ドル/月(5,320円)
Advance HKD 0.2 M(約300万円) 120香港ドル/月(1,680円)※2019年8月1日〜は無料
Personal Integrated HKD 5000(約7万円) 60香港ドル/月(840円)※2019年8月1日〜は無料

(*)表内の金額は1香港ドル=14円で換算で為替換算

基準額を満たさないまま口座を放っておくと残高は減って行くばかり。せっかく開設した海外口座は大事に育てていきたいです。残高を維持することに自信のない方は下位グレードに変更することが賢明です。

預金金利と外貨両替手数料

預金金利と外貨両替手数料を計算する計算機のイメージ続いて、HSBC香港の預金金利と外貨両替手数料について解説します。口座のグレードによって金利や手数料が異なりますので、ここではAdvanceを例にとります。

預金金利

HSBC香港の特徴は1つは取扱通貨が豊富なことです。現在、日本円をはじめ12種類の世界の主要通貨が利用できます(*)。
*取り扱い通貨:日本円、香港ドル、中国元、米国ドル、オーストラリアドル、カナダドル、ユーロ、ニュージーランドドル、イギリスポンド、シンガポールドル、スイスフラン、タイバーツ の計12通貨

日本円の預金利息は日本国内と同じ(普通預金0.001%、定期0.010%)ですが、通貨によってはHSBC香港の方が有利なケースがあります。

たとえば米ドルの預金利息を三菱UFJと比較すると、普通預金・定期預金ともにHSBC香港の金利の方が条件が良いことがわかります。

銀行 普通預金 定期預金(3万米ドル1年定期)
HSBC香港 0.35% 0.70%
三菱UFJ 0.20% 0.20%

(2019年7月時点)

外貨両替手数料

日本から日本円をHSBC香港に送金したり、米ドル建の金融商品を購入したりなど、HSBC香港口座の中で外貨両替をする機会があります。

たとえば日本円から米ドルに両替した場合、HSBC香港は1%の手数料がかかります。一方で三菱UFJ銀行においても1%(ネットバンキングでは0.25%)と同様の手数料がかかります。為替手数料についてはHSBC香港が特別安いということはありません。

日本での引き出し手数料

日本での引き出し手数料を確認してATM前で微笑む女性のイメージ
日本のATMでHSBC香港からお金を引き出しすことができます。

HSBC香港のキャッシュカードはUnionPay(*)と提携しており、世界170カ国に設置されているATMで現地通貨を引き出すことができます
*UnionPayとは、銀聯カードとも呼ばれるクレジットカードブランドで、VisaやMasterに並ぶ国際ブランドです。

日本では三菱UFJ、ゆうちょ銀行など大手銀行のATMがUnionPayに対応しており、お金を引き出すことができます。なお、引き出しには以下の通り一定の手数料がかかります。

手数料内訳

HSBC側の手数料+日本のATM側の手数料

  • HSBC側の手数料:20香港ドル(約280円)
  • 日本のATM側の手数料:100円前後

→三菱UFJは無料、三井住友銀行は75円

(参考)
三菱UFJ銀行:https://www.bk.mufg.jp/tsukau/atm_con/atm/kaigai_card.html
三井住友銀行:https://www.smbc.co.jp/kojin/tenpo/atm/kaigaicard.html

1回あたり、約400円弱とお考え下さい。

ただし注意が必要なのは、引落口座は香港ドル普通預金口座なので、この残高がなければ引き出しはできません。あらかじめ資金を準備しておく必要があります。

なお、この日本のATMからの引き出しですが、口座を凍結しないためによく取られる方法です。

HSBC香港の口座は2年間動きがない=入出金がなければ、強制的に凍結されてしまいます。凍結を解除するためには直接香港に赴く必要があるため、避けたいところです。

そのため、口座を開設したっきり放置してしまっている方は、数ヶ月に一度日本のATMからお金を引き出すことで口座凍結を防ぐことができます

日本からのHSBC香港への送金手数料

日本からのHSBC香港への送金手数料を提示する女性日本のATMからお金を引き出すことは気軽にできますが、一方で日本のATMを利用してHSBC香港の口座に入金することはできません。そのため、銀行を通じて海外送金の手続きをする必要があり、引き出しに比べると手間と手数料がかかります。

一例として三菱UFJ銀行のインターネットバンキングを利用して日本円を送金する場合、1回あたり3,000円の送金手数料がかかります。それに加えて、HSBC香港側で着金手数料が入金額の0.25%が必要です。たとえば100万円を送金するケースでは、手数料の合計は5,500円になります。

(参考)
三菱UFJ銀行:https://www.bk.mufg.jp/tesuuryou/gaitame.html
HSBC香港:https://www.hsbc.com.hk/content/dam/hsbc/hk/docs/ways-to-bank/bank-tariff/20190501-guide.pdf

手数料を節約するために、まとまった金額を一度に送金したり、海外送金サービス会社を利用したりなど、他にも方法があります。なかには香港旅行のついでに現金をハンドキャリーしたりする方もいます(*)。

*日本出国時に一定の手続きが必要です。

税関:http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/keitaibetsuso/7305_jr.htm

まとめ

海外銀行口座はしっかり活用することで初めて資産形成に役立てることができます。特にHSBC香港には条件の良い金融商品が数多くありますので、口座開設をおすすめします。

HSBC香港の口座開設にはお金と労力がかかります。せっかく開設できた口座でも放置しておくと無駄に手数料が徴収されたり、最悪のケースでは口座を凍結される可能性があります。日頃からしっかりメンテナンスすることが大事です。

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