株、不動産、先物、金、国内、海外、先進国、発展途上国……個人投資家が「投資をする」と一口に言っても、選択肢はほとんど無数に存在します。

今回はその選択肢の中でも、資産形成をするうえで有力な選択肢の一つであるタックスヘイブン投資について紹介します。

「タックスヘイブン」や、これとセットで語られることの多い「オフショア」という言葉を聞くと、マネーロンダリングや脱税、汚職などのネガティブなイメージを持っている人も多いかもしれません。

しかし犯罪に利用した人がいるというだけで、タックスヘイブン投資やオフショア投資そのものには、何の違法性もありません。

以下ではそうした点にも触れつつ、個人投資家がタックスヘイブン投資を行うメリットについて解説していきます。

INDEX
  1. タックスヘイブン投資とは?
  2. 個人投資家がタックスヘイブンで資産を運用する理由
    1. タックスヘイブンでの資産運用は無税に「ならない」
    2. メリットは「コストパフォーマンス」
  3. まとめ

タックスヘイブン投資とは?

香港

タックスヘイブンとは「租税回避地」のことであり、一般的に法人税率が20%以下の地域を指します。

タックスヘイブン投資とは、タックスヘイブンに拠点を置く金融機関や金融商品で資産を運用することを意味します。

タックスヘイブンとよくセットになる「オフショア」という言葉は、海外を意味する言葉で、「オフショア投資」というと、単に海外の金融機関や金融商品で資産を運用することを指します。

図で整理すると以下のようなイメージです。

タックスヘイブンとオフショアの関係
※なおタックスヘイブンとオフショアは同じ意味で使われることも多いため、あまり厳密に区別する必要はありません。

具体的には香港、台湾、バージン諸島・マン島、シンガポールやパナマ、アイルランドやチェコなどがタックスヘイブンに該当します。

例えば香港の法人税率は2,000万香港ドルまでの利益を持つ法人は8.25%、2,000万香港ドルを超える利益を持つ法人は16.5%と定められています。

一方で日本の国税と地方税を足した「法定実効税率」は30%超となっています。香港はこれ以外にも所得税が日本の半分で、譲渡税や配当税に至っては無税です。

これらのタックスヘイブンはもともと資源や人口が少なく、資源や人口に恵まれた地域と同じ戦い方では産業の発達が見込めないことから、海外企業の誘致を目的に税金を大幅に安くするという戦略をとりました。

結果、例えばパナマには現在40万社超の企業が登録されているなど、多くの企業がタックスヘイブンに本拠を置いています。

個人投資家がタックスヘイブンで資産を運用する理由

タックスヘイブンでの資産運用は無税に「ならない」

税

このように書くと「ひょっとしてタックスヘイブンで資産を運用すれば、個人投資家でも無税になるの?」と思う人もいるかもしれません。

しかし残念ながら、タックスヘイブンの税率を適用してもらうには、同地での居住年数や日本での居住実態、主な収入源などの条件をクリアしなければなりません。

多くの日本人は、タックスヘイブンの国や地域の金融機関と契約したり、そこから金融商品を購入したりする形でタックスヘイブン投資をするため、ほぼ確実に日本の税率が適用されることになります。

メリットは「コストパフォーマンス」

お金

日本の税率が適用されるなら、どうしてわざわざタックスヘイブン投資をする個人投資家がいるのでしょうか。それはタックスヘイブン投資のコストパフォーマンスが得てして高いからです。

タックスヘイブン投資のメリット

金融商品のパフォーマンスを維持するためには、優秀なファンドマネージャーを雇用しなければなりません。

それには当然高額な人件費が必要ですが、タックスヘイブンの多くは所得税率が非常に低いため、同じ金額の給与を支払うにしても金融機関側の負担に大きな差が生じます。

これに加えて、前述したようにタックスヘイブンは法人税率も低いので、同じ利益を出していても支払う法人税が安くなります。だからタックスヘイブンの金融機関はより多くの利益を手元に残すことができるのです。

その結果として購入手数料や管理手数料などのコストを引き下げても、高いパフォーマンスを維持し続けられるというわけです。

まとめ

タックスヘイブンでは人件費や法人税を節約できるため、日本のような税率の高い国の金融機関では実現が難しい低コスト低リスク高リターンの商品も、タックスヘイブンの金融機関であれば見つかる可能性があります。

長期に渡ってできるだけ多くの利回りを得ようと思うのであれば、タックスヘイブン投資について知っておいて損はないでしょう。