サラリーマンは毎年の年末調整で多少税金が返ってくるくらいで、一生懸命節税したってたかが知れている。
そう思っている人も多いのではないでしょうか。
しかしサラリーマンでも、少し工夫をするだけで年間数十万円の節税ができる場合もあります。
年間数十万円あれば、欲しいものが買えたり、行きたいところに行けたり、貯金が増えたり……色々な可能性が広がりますよね。
2019年10月に消費増税が実施されました。また多くの人が100歳まで生きる「人生100年時代」もすぐそこまできています。
これにより、サラリーマンも本気で節税に取り組まなければ、今まで通りの生活を送れなくなる可能性が出てきています。
ここでは「消費増税」「人生100年時代」をキーワードに、サラリーマンが節税を「本気で」始めるべき3つの理由を解説します。
二度の消費税アップで税負担が年間平均18万円増えているから
2019年10月に実施された消費増税により、私たちが日常的に負担する消費税が年間平均3万円増えるという試算が出ています(日本総研による)。
2014年に5%から8%に上がった際は1世帯あたり年間15万円の負担増でしたが、今回は上げ幅が2%で、かつ軽減税率を適用したことで、負担増が抑えられると考えられています。
このように書くと「なんだ、3万円くらいなら大したことないな」と思うかもしれません。
しかし2014年と比較してみてください。負担増は平均で18万円。無視できる金額ではありません。
またこれはあくまで平均値で、収入が高くなり、支出も増えればそれだけ税負担も増えます。
事実、年収650万円程度の共働き世帯では年間5万円程度の負担増になるという試算もあります。
しかも日本総合研究所は視標「消費増税実施」というレポートのなかで次のような考えを示しています。
日本総研の試算では、現行の社会保障制度を前提にすれば、税率を少なくとも 10%台後半まで引き上げないと、増大する社会保障関連費を賄えず、財政健全化も展望できない。
いきなり今の10%から10%台後半になるとは考えにくいものの、これまでのように段階的に引き上げられる可能性は十分あります。
そうなれば消費税負担の上げ幅は平均でも10万円、15万円と膨らんでいくでしょう。
しかし消費税は基本的に日常的な支出に関わるものなので、節税をするにしても限度があります。
だからこそ、より大きな金額の節税をするために本気で節税に取り組む必要があるのです。
少しの工夫で数十万円の節税も可能だから
「でも節税するって、色々と面倒なんじゃないの?」と思う人も多いはず。しかし実はそんなことはないんです。
まずは下表でサラリーマンでも利用できる節税制度を確認しておきましょう。
主な節税制度・対策 | 概要 |
扶養控除 | 配偶者や高校生以上の子ども、年金で生活する両親などと家計を同一にしている場合、38〜63万円の所得控除が受けられる。 |
iDeCo(個人型確定拠出年金) | 毎月一定金額を掛け金として拠出して、そのお金を投資信託などで運用できる。掛け金は全額所得控除になる。会社員が拠出できるのは、年間最大27.6万円。 |
生命保険料控除 | 生命保険料に加入すると、掛け金のうち最大4万円の所得控除が受けられる。この他に介護医療保険料控除、個人年金保険料控除がある。 |
「報酬」形態で副業 | 原稿料や講演料、アフィリエイト料といった「報酬」の形態で副業をすれば、個人事業主として確定申告ができるようになる。稼ぎが増えるうえ、仕事に関係する支出は経費として計上できる。所得が減るため、税金も安くなる。 |
例えば年収600万円の40歳の会社員が、高校生の子ども1人を扶養に入れて控除を受けると、所得税と住民税で合計約7.2万円もの節税になります。
同じく年収600万円の人が年間27.6万円をiDeCoに拠出すると、所得税だけで約5.5万円返ってくる計算になります。
同じ年収なら生命保険料控除では所得税だけで8,000円の節税となります(※)。
副業の経費を計上して節税をする場合は、何をどこまで経費にするかなどで大きく変わってきますが、うまく活用すれば数万円〜十数万円程度の節税は可能です。
したがってこの4つの節税制度・対策を利用するだけでも、20万円を超える節税が実現できるのです。
しかも「報酬」形態で副業する場合を除けば、サラリーマンならすべて年末調整の書類に必要事項を書くだけで手続きはおしまい。あとは全部経理の人におまかせでOKです。
副業による節税については、税務署に確定申告をするなど手間と時間はかかりますが、その分節税効果も大きいため、コストパフォーマンスは低くありません。
このようにサラリーマンでも少しの工夫と手間で、数十万円の節税ができるのです。
節税額の数字はあくまで目安です。実際の節税額は年齢や家族構成、年収や雇用形態など様々な要素で変わります。
節税をすれば資産運用をする余裕も生まれるから
仮に年間で20万円の節税に成功すれば、2014年と2019年の消費増税の負担増を超えることになります。
もちろんそのお金を好きなことに使ったり、ヘソクリにしたりするのもアリです。
しかし多くの人が100歳まで生きる「人生100年時代」の到来を考えると、自分の老後のための資金として確保しておくことも大切です。
確かに節税できる金額から、消費増税による負担増分を差し引くと、残りお金は数万円から十数万円程度です。
でもこの数万円から十数万円程度が10年、20年と積み重なっていけば、手元に残る金額も大きく変わってきます。
例えば毎年10万円を30年間節税し続けたとすると、以下のような結果が期待できます。
貯金した場合 | 約300万円 |
株式で運用した場合(利回り5%) | 約485万円 |
投資信託で運用した場合(利回り3%) | 約693万円 |
節税制度は時代によって変わりますから、同じ方法で同じ金額を節税し続けるのは難しいかも知れません。
しかしその都度アンテナを張って自分ができる節税を続けていけば、これだけの資産を作ることもできるのです。
まとめ
消費増税によって納める税金が増えるぶん、節税をしなければそれだけ収入が減ってしまいます。
また現代のサラリーマンは人生100年時代に備えて、老後資金を蓄えておく必要性にも迫られています。
「節税って面倒そう……」と思うかもしれませんが、そんな心配はご無用。多少の手続きは必要ですが、その労力に見合った節税はサラリーマンでも十分可能です。
せっかく一生懸命働いて稼いだお金。税金として必要以上に徴収されているぶんは、きっちり取り戻していきましょう。