2019年6月現在、香港のデモが連日報道されています。
なぜ香港人がデモを起こしているのかご存知でしょうか?香港人は今、自由を失わないために戦っています。
- なぜ自由を失いそうになっているの?
- ニュースとかでよく聞く逃亡犯条例となにか関係があるの?
という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では香港人がデモを起こしている理由や、それに関連する逃亡犯条例についてわかりやすくお伝えします。
香港でデモが起きた理由
【香港で再び大規模デモ 逃亡犯条例改正案「完全撤回」訴え】
香港の英国から中国への返還22年に当たる1日午後、民主派団体「民間人権陣線」が大規模デモを展開しました。
記事はこちら⇒https://t.co/5c9a56wJHk pic.twitter.com/fkM56nhAe6
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) 2019年7月1日
香港でデモが起こっている理由は、香港政府による逃亡犯条例改正をやめさせたいからです。この逃亡犯条例が改正されると香港人は自由が失われてしまう可能性があります。
なぜ、改正されると自由が失われるかを説明するためには、逃亡犯条例について少し理解しておく必要がありますので確認していきましょう。
騒動のキーワードである逃亡犯条例とは?
逃亡犯条例、犯罪人引き渡し条約とも言われるこの条例は、
- 香港国外で犯罪を起こした香港人を、犯罪発生国へ引き渡す
- もしくは香港で犯罪を起こした外国人を、犯人の居住国へ引き渡す
こういった内容を義務とする条例です。
この条例を結んでいない国だと、犯罪者を引き渡す義務はお互いにありません。
例えば、香港はアメリカと逃亡犯条例を結んでいます。そのため、
- アメリカで犯罪を起こした香港人→香港へ身柄を引き渡す義務あり
- 香港で犯罪を起こしたアメリカ人→アメリカへ身柄を引き渡す義務あり
となります。
いっぽう、香港は中国本土と犯罪人引き渡し条例を結んでいないため
- 中国本土で犯罪を起こした香港人→香港へ身柄を引き渡す義務なし
- 香港で犯罪を起こした中国人→中国へ身柄を引き渡す義務なし
といったようなことになっているのです。
香港政府は逃亡犯が逃げてくる国にしたくないため改正したい
香港政府が逃亡犯条例を改正したい理由は、香港を犯罪者の逃げ場にしたくないからです。
2018年2月、台湾で恋人を殺害した香港人が香港に帰国したことにより、逃亡犯条例を結んでいない台湾へ犯罪人を引き渡せないという問題が発生しました。
犯罪を犯した香港人を台湾へ引き渡せないから裁判にかけることができない、香港で起こった犯罪ではないから香港でも裁判にかけることができない、ということが起こってしまっているのです。
このカラクリを利用すれば他の国で犯罪を起こしても、身柄が引き渡されない香港に逃げてしまえば難を逃れることができると考える人が増え、香港は犯罪者の温床となってしまう恐れがあります。
そのため、香港政府は中国本土・台湾などを含む逃亡犯条例を結ぶ国を増やして身柄を引き渡せるようにし、犯罪者の温床となることを防ぎたいという狙いがあります。
香港人は自由が奪われるから改正を阻止したい
香港政府の狙いを知ると、「あれ?香港人はそんなに怒る必要ある?」という疑問が湧いてきます。
しかし、香港人は香港政府の言い分を信用していません。中国本土と容疑者の引き渡しが行われるようになると言論の自由が無くなってしまう可能性があるため、どうしても条例改正案を撤回させたいのです。
中国本土では言論の自由があるとは言いがたく、例えば中国本土に住む中国人が今の中国政府の政策を批判すると、不当に拘束されたり場合によっては拷問される可能性があります。
一方、現在の香港では日本などと同じく言論の自由があります。香港の政府を批判しようが中国本土の政府を批判しようが、拘束されることなどあり得ません。
しかし逃亡犯条例が改正された場合、一例を挙げると
香港人Aさんが中国の政府をTwitterで批判
↓
良く思わない中国当局が、Aさんを犯罪人としてでっち上げ、中国本土へ引渡し要請
↓
引き渡しが認められる
↓
中国本土の不透明な司法制度のもと裁判をかけられる
というルートが可能となり、実質言論の自由が無くなることになりかねないということから、強い反対によるデモが行われているというわけです。
このデモは日本人とも関係がある?
香港で行われているこのデモは、日本人である私たちにも全く無縁なものではありません。
なぜなら、この逃亡犯条例が改正された場合、香港人以外の外国人も引き渡しの対象になるからです。
例えば、過去に中国への批判をしていた日本人が、仕事の出張で香港へ行った際になんらかの理由をつけられて逮捕され、中国本土へ引き渡されるということも起こり得ます。
そのため、香港に旅行に行きたくない人や香港に転勤したくない人が増えるため、香港と関わりのあるビジネスを行なっている日本の企業などは、経営状況悪化などのダメージを受けると考えられます。
自由な香港を守りたい
いま日本に必要なのはコレ。200万近くの市民が参加した香港のデモを見た権力者・経営者といった支配層が「やっても無駄」と必死に刷り込む理由は、数では市民に勝てるわけがないからです pic.twitter.com/knWzPshS51
— LOUD MINORITY. (@LoudminorityJP) 2019年7月1日
香港は中国本土とは違い、言論の自由があることを誇りにしてきました。
また、2014年には反中派の議員立候補者が事実上排除になったことに反抗する雨傘運動というデモが起こるなど、自由が消えないように様々な努力をしてきました。
※反中派:中国のことをよく思っていない人のこと。反対語は親中派。
しかし、逃亡犯条例が改正されてしまうと今まで守ってきたものが無駄になってしまう可能性があります。
つまり、今回のデモは今までの自由を崩したくない、そしてこれからも自由であり続けたいという香港人の願いが込められた反対運動なのです。